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COLUMN




交通事故により損害賠償責任を負うのは

まず、加害者本人はもちろん、自動車の保有者(運行供用者)、加害者の使用者など未成年の場合の法定監督責任者(一的には親)、国(政府保障事業)にまで及ぶことがあります。


運行供用者の無過失責任

自賠責法3条では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる」とありますが、この「自己のために自動車を運行の用に供する者」が、「運行供用者」として、損害賠償責任を負います。この責任は無過失責任で、@自己及び運転者が自動車の運転に関し注意を怠らなったこと A被害者または運転者以外の第三者に故意まは過失があったこと B自動車に構造上の欠陥または機能障害がなかったこと、を証明できない限り、責任を負うことになります。


賠償責任のある運行供用者

運行供用者とは、自動車の所有者やその自動車を使用する権利を有するものです。
会社の従業員が、会社の自動車を運転して事故を起こした場合、会社は運行供用者としての責任を負います。従業員が無断で私用のために運転した場合や、アルバイトの者が会社の自動車を運転していた場合にも同じです。
盗難にあった自動車が事故を起こした場合でも、鍵をつけっぱなしで路上駐車していたケースなど、所有者が責任を負うことがありますし、知人や友人に貸した自動車の事故でも、運行供用者として責任を負わされることがあります。
割賦販売などで、自動車の所有名義が売主のままになっている場合は、売主には運行支配がありませんので運行供用者として責任は負いません。


使用者の損害賠償責任

使用者の業務執行中に従業員が起こした自動車事故の場合、使用者は加害者とともに賠償責任を負うことになりますが、それが三者名義の自動車であれば使用者に自賠責法上の責任はありません。
ただ、使用者が従業員に業務のために運転させていて、その自動車の所有者が使用者と元請け・下請け関係にある下請け業者の名義であった場合などは、元請け会社にも民法上の使用者責任があります。


加害者が未成年の場合

民法上は年齢が12〜13歳になれば、一応の責任能力があるとして、その法定監督責任者には責任を問えなくなっています。そこで、実務として運行供用者としての責任を問うことになります。
運転していた自動車が親名義であれば、運行供用者として親に責任があります。
未成年本人の名義であっても、購入資金を親が出しているとか、ガソリン代や自動車税などの維持費を親が支払っている場合に、親に自動車に対する運行支配があると判断され、運行供用者としての責任があります。
未成年が暴走行為を繰り返したり、交通事故をたびたび起こしていたにもかかわらず、親として何も注意せず放任していた場合、親の監督責任が問われる場合もあります。




過失相殺

過失相殺とは、事故について被害者側にも何らかの過失責任がある場合、被害者の損害賠償額を算定する際に、その過失割合に相当する額を減額することです。その場合、被害者が実際に受け取る損害賠償額は、加害者側の過失割合分となります。

自賠責保険の減額率

自賠責保険では、実際の過失割合に応じて細かく減額されるのではなく、一定の減価率に応じて減額されます。
基準は以下のようになっています。

過失割合 後遺障害による損害・死亡による損害 傷害による損害
70%未満 減額なし
70%以上 20%減額 20%減額
80%以上 30%減額
90%以上100%未満 50%減額

自賠責保険と任意保険

自賠責保険と任意保険では、過失相殺適用の範囲が違います。
損害賠償額は、まず自賠責保険から支払われ、自賠責保険の限度額では不足する場合に、任意保険から不足分が支払われますが、任意保険の支払いに関しては、個別具体的に過失割合を検討し、減額を主張してきます。

被害者の過失が10%程度のケースで、ケガの損害賠償額が200万円の場合、自賠責保険では、10%程度の過失は減額の対象とならず、先に満額120万円が支払われます。しかし、任意保険では、200万円の損害額から被害者の過失割合、10%を減額しますので、過失相殺後の損害額は180万円となります。この180万円から自賠責保険で支払われた120万円を差し引いた、60万円が支払われることになるのです。

この200万円の内訳が、治療費100万円、慰謝料他100万円の場合どうなるかというと、(100万円は治療費として病院へ支払いますから、被害者が受け取るべきものは慰謝料他の100万円が基礎です。)自賠責保険の120万円は減額されませんから、不足分80万円が任意保険から出るとして、80万円から過失相殺分10%減額され、80万円×90%が72万円。自賠責保険の120万円と合わせて192万円で、そこから病院への支払い分100万円を引くと、最終受取り額は92万円。と考えている方が多いようですが・・・。任意保険の算定方式では、総額200万円から過失割合分を減額した180万円が基礎になります。そこから、治療費100万円を病院へ支払い、残りは80万円です。(自賠責保険は、治療費の100万円と被害者の受取額80万円のうち20万円を負担し、残りの60万円が任意保険会社の負担となります。)



交通事故と保険

交通事故で被害者が使用できる保険は、自賠責保険や任意保険だけでなく、他の各種保険も使用できます。
労災保険、健康保険及びその他の保険(国民年金、厚生年金、公務員共済、恩給、生命保険、傷害保険、所得補償保険)があります。

労災保険

被害者が業務上あるいは、通勤途上で交通事故にあい、死亡や負傷した場合には、被害者本人やその遺族が国から給付金を受けられます。(交通事故の場合、「第三者行為災害届」の提出が必要です。)
加害者との示談ができていなくても支給されますから、労災保険が適用される事故の場合は、その適用を受けるべきです。

労災保険の概要
療養補償給付 主に治療費
休業補償給付 療養のための休業に対しての休業補償金
障害補償給付 後遺障害が残った場合、後遺障害の等級に応じて支払われる
遺族補償給付 被害者の遺族に対する年金や一時金
葬祭費 遺族にたいする葬祭費
傷病補償年金 療養が長期になる重症の場合、休業補償給付に代わって支払われる
特別支給金 休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、傷病補償年金がそれぞれ
支払われるとき、それと

別に支給される

健康保険

交通事故の場合にも健康保険を使用することができます。(この場合には「第三者行為傷病届」の手続が必要です。)病院によっては、健康保険を使用した保険診療を嫌い、高額になる自由診療を勧めますが、被害者にも過失のあるケースでは健康保険を使用した方が有利になります。

<例>
自由診療で、治療費100万円・慰謝料その他100万円の賠償額で、過失割合が50%(相手が50%)の場合、総額200万円×0.5=100万円です。ここから治療費を病院へ100万円支払うと、0になり被害者が受け取る賠償金はなくなります。

では健康保険を使った場合はどうなるかというと、
ほとんどの病院の自由診療の単価は健康保険の倍ですから、自由診療治療費100万円が健康保険を使うと50万円になりますので、治療費50万円+100万円=150万円で、×0.5=75万円です。ここから治療費を病院へ50万支払うと、残りは25万円となり、自由診療の場合よりも25万円受け取れる賠償金が増えることになります。

損害額や過失割合によりいろいろなケースがありますが、過失事案では健康保険を使用して損になることはないでしょう。



物損事故

ケガなどがなく、自動車が損傷したり道路わきの建物などの施設が損壊されただけの事故が「物損事故」と呼ばれます。自賠責保険の対象は人身事故に限られており、物損事故には適用されません。また、いくら被害が大きくて精神的苦痛があったとしても、慰謝料の請求は認められません。

物損事故の損害の種類

<積極損害>
・修理可能−−−−−修理費・評価損(格落ち)
・修理不可能−−−−事故にあった自動車の時価額・登録費用や車庫証明費用などの買換え諸費用
・代車使用料

<消極損害>
・営業損害・休車損害


修理費と評価損(格落ち)

被害車両が修理可能な場合には、原則として修理費が損害となります。修理可能でも修理せずに売却した場合には、修理代相当額か事故時の価格から売却価格を引いた額、どちらか低い方の額が損害となります。
修理しても、事故車として価格が減少する場合には、その減少分が評価損という損害になります。保険会社はこの評価損をまず認めようとしませんが、東京地裁の判決では、この評価損、格落ちについては、

1.修理技術上の限界から、顕在的に自動車の性能、外観等が事故前より低下すること、
2.事故の衝撃で、車体、各種部品等に負担が掛かり、修理後まもなくは不具合がなくとも、経年的に不具合の発生する可能性が起こりやすくなること、
3.修理の後も隠れた損傷があるかも知れないとの懸念が残ること、
4.事故にあった、縁起が悪いで嫌われる傾向にあること、

これらの諸点により、中古車市場の価格が事故に遭っていない車両よりも減価することを言うと規定しています。
現実の裁判では、これを損害として定義し、認めているわけです。
これが認められた例では、新車登録後5年以内の乗用車であり、修理費用が20万円以上で時価の10%以上であること、がひとつの判断基準になっているようです。

全損とは

全損には、経済的全損と物理的全損があります。物理的全損とは、文字通り修理不可能な場合を言い、経済的全損とは、修理可能であってもその修理代が被害車両の時価額を超えてしまう場合を言います。この場合の損害額は、全損になった被害車両の時価額が基準になります。
新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買換え諸費用は、通常要求される費用の範囲内であれば損害として認められます。
請求できる買換え諸費用として、自動車重量税、登録費用、車検費用、車庫証明費用、納車・手続代行費用などがあります。

代車使用料

被害車両が修理などで使用不能なため、レンタカーなどの代車を使用した場合には、必要かつ相当な範囲内で認められます。保険会社の実務上では、被害者に過失がない場合は認めていますが、一割でもあれば代車費用を認めていません。必要性に疑問があるとか、高級車を使用した、相当な期間以上使用したと言うなら分かりますが、過失の有無で判断することにはまったく根拠がないと言わざるを得ません。

営業損害・休車損害

営業者については、被害車両の買換えや修理のため使用できなかった場合、この車両によって得られたであろう利益に相当する損害を請求できます。